これまでの人生で一番「死ぬかと思った」日から早1年。懲りずに今年もここにやってきました。目指すは「試練と憧れの『剱岳』」。
詳しくは去年の記事を読んでいただきたいのですが(下に過去記事のリンクを貼っています)、とにかく酷い目(トラウマになるレベルだったと思っている)に遭って登頂できず、必ず今年登ると心に決めて1年間過ごしてきました。
行程は昨年と同じ、室堂から出発し、剱岳に登頂後、立山三山を縦走して室堂に戻ってくるという計画を立てました。唯一異なるのは、昨年は長野県側の扇沢から入山しましたが、今年は富山側の立山駅から入ります。去年下山の際に話をした新潟から来ていた方から「立山駅側から入った方が乗り換えが楽」という話を聞いたからです。
そして一緒に登るのも去年と一緒、Kと登ります。去年一緒に死にかけた同士、今度こそ登頂したいです。
ではでは早速行ってみましょう。
<行程>
1日目:室堂→雷鳥沢キャンプ場
2日目:雷鳥沢キャンプ場→剣沢野営場
3日目:剣沢野営場→剱岳→別山→真砂岳→富士ノ折立→大汝山→雄山→一ノ越→室堂
過去の北アルプスの山の記事はこちらからどうぞ。
- 白、ちらつく(立山駅→室堂)
- 既視感(室堂→雷鳥沢キャンプ場)
- トラウマ(雷鳥沢キャンプ場)
- 改めて出発(雷鳥沢キャンプ場→新室堂乗越→別山乗越(剱御前小舎))
- 現場に戻る(剱御前小舎→剣沢野営場)
- 本番を前に(剣沢野営場)
- 1年越しの挑戦(剣沢野営場→剣山荘→一服剱→前剱)
- 難所を行く(前剱→剱岳山頂)
- 感無量(剱岳山頂→前剱→一服剱→剣山荘→剣沢野営場)
- 地味に堪える登り返し(剣沢野営場→別山)
- 歩きやすい稜線を(別山→真砂岳)
- ゆとりは傾斜に弱い(真砂岳→富士ノ折立)
- 立山三山はご近所さん(富士ノ折立→大汝山→雄山)
- 名残惜しいが(雄山→一ノ越→室堂)
- まとめ
白、ちらつく(立山駅→室堂)
入山前夜。立山駅に行く前に富山名物「富山ブラック」を初めて食べました。
食べたことがある人からは「見た目よりしょっぱくないよ」という感想を聞いていたのですが、いやいや見た目通りなかなかしょっぱかったです。店によって味に振り幅が結構あるのかな?
富山ブラックを食べた後は立山駅の駐車場で車中泊。近くにトイレもあって快適です。
こちらは最近少しずつ腹が出ているような気がするKです。カメラをうまく使って腹を隠しています。
そしてこれは最近フレッシュ感がなくなってきていることに悩んでいる私です。
駐車場から徒歩1分で立山駅です。この時間にここにいる方は、ほぼ100%登山かハイキング目的と思われる服装をしています。
水が湧いています。
折角なので記念撮影。少し恥ずかしい気持ちがあるのは大人になったからでしょうか。
改札の時間が近づいてきたので人が列を作り出しました。私達も並びます。
駅にある室堂のライブカメラ映像を見ると、これ以上ないくらいの驚きの白さです。
うーん、去年の悪夢がフラッシュバックしてきます。
立山駅からケーブルカーに乗り、途中でバスに乗り換えて室堂を目指します。
バスに乗っている途中、称名滝という落差日本一の滝が見えました(というか、バスの運転士の方が速度を落とし、見せてくれました。)。
立山駅から約1時間で室堂に到着しました。やはり扇沢から来るより圧倒的に楽です。次来る時も絶対こっちからの方がいいですね。
去年はここの案内板の「視界:良好」に騙されましたが、今年はどうでしょう。当たっても外れても白い世界の中を歩くことに変わりはないようです。
どうせ着ることになりそうなのでレインウェアを着て外に出ます。
既視感(室堂→雷鳥沢キャンプ場)
予想通り、某洗濯用洗剤(ア○ック)もびっくりの驚きの白い世界が広がっています。
去年と変わらない景色に、自分がタイムスリップしたのかという錯覚を覚えます。
愚痴を言っていても晴れそうにないので、
9:35 ぼちぼち出発することとします。
みくりが池は全くと言っていいほど見えなかったので写真は無し。黙々と先に進みます。
地獄谷方面もこの通り。去年以上に見えないんですが、、、これは登頂できるか不安になりますね。
ここは去年、ずぶ濡れになりながら歩いて室堂を目指した道です。雷鳥が先導してくれた思い出深い場所です。
「血の池」も特に去年と変わらないのでスルーします。
何となく室堂よりガスが薄くなってきたような気がします。地獄谷からの強風のせいかな。
雷鳥荘を過ぎるとガスはなくなり、地獄谷方面が見えました。時々ガスのにおいが強くなるので、口をタオルで覆いながら注意して歩きます。
雷鳥沢キャンプ場が見えました。大人気の場所にしてはテントの数が極端に少ない気がします。それだけ天気がよくないということでしょうか。
満面の笑みのK。笑顔の理由は不明。
雷鳥沢を撮る私。クローズドセルのマットを外付けしているので、ザックカバーを付けるとかなり不格好です。
トラウマ(雷鳥沢キャンプ場)
10:20 雷鳥沢キャンプ場に到着。
室堂よりは天気がよく、いい風が吹いています。
が、剣沢の天気予報を確認すると風速20mほどで強い雨が降るとのこと。去年、剣沢で死にかけた身としてはなるべく怖い思いはしたくありません。
2人で話し合った結果、今日はもうここにテントを張ってしまい、明日剣沢に向かうこととしました。3日目に剱岳と立山三山を一気に巡るのでややハードにはなりますが、予備日もあるのでもし厳しそうであればもう1泊しようと思います。
サクッとテントを張り終えたものの、時刻はまだ10時台。さすがに飲み始めるには早いので、一ノ越方面への登山道を少し散策してみることにしました。
散策前に管理所でテントの受付を済ませます。1人1泊1,000円です。(トイレもこの管理所にあります。)
では散策に向かいましょう。
正面の山の向こうに剱岳があるはず。明日はいい天気で待っていてもらいたいです。
空身で身軽になったK。
雷鳥沢から一ノ越への道は、雷鳥坂方面に行く際も渡るこの橋の先の分岐を右に曲がります。雷鳥坂や新室堂乗越(大日岳方面)に行く時は橋を渡ったら左です。
橋を渡って15分ほどは写真のような天気でしたが、その後、ポツポツ降ってきたと思ったらすぐに本降りになったので、駆け足でテントに戻りました。
テントの中では特にやることもないので食事をしたりコーヒーを入れたりして過ごします。
Kよ、何がGOODなんだ。
暫くして雨が止みました。
テントから顔を出すと、剣御前小舎にかかっていたガスはなくなり、小さくその建屋が見えました。
因みに明日は雷鳥坂は登らず、新室堂乗越経由で剣御前小舎を目指します。
雷鳥坂が嫌ということではないのですが、去年登ったので、今回は別の道を歩いてみたいという気持ちになりました。
奥大日岳方面も見えるようになりました。あの綺麗な三角形の山容を見てそそられない登山者はいないはず。今回は日程的に登れませんが、いずれ登りたい山の1つに入っています。
1日目は行動時間が1時間未満ということで、ほぼテント内でダラダラして終わりました。
早い時間からアルコールを入れてしまったこともあり、まだ明るい時間から寝始めてしまっていたようです。夜中に目が覚めると、風がかなり強く、テントが大きく揺れていて、「この風を剣沢で味わっていたら、本当に剱岳が嫌いになってしまっていたな」と思いました。
改めて出発(雷鳥沢キャンプ場→新室堂乗越→別山乗越(剱御前小舎))
おはようございます。夜中に吹いていた風も朝には収まり、いい天気です。
昨日、剣沢にテント泊したという団体が雷鳥坂を下りてきたので状況を聞いたのですが、「昨日は風は強い方だったがそこまで過酷な状況ではなかった」とのこと。
それを聞くと昨日のうちに上がってしまった方がよかったのかなとも思いますが、まあ安全第一ということで選択は間違えていなかったこととします。
面倒な濡れたテントの撤収を終えたので、そろそろ剣沢に向けて出発しますか。
9:15 雷鳥沢を出発。昨日も渡った橋を渡ります。
今日はこの分岐を左へ。
赤い花が咲いています。私には何という名前かは分かりません。
今回は雷鳥坂ではなく新室堂乗越経由で登るので、比較的傾斜は緩やか。朝一であり、昨日もろくに歩いていないので、これは体に優しくて嬉しいです。
心地よい風が吹いていていつまでも歩いていられそうな気になります。
出発した雷鳥沢キャンプ場があんなに小さくなりました。(写真左の赤い屋根がキャンプ場管理所です)
奥に見えるのが雄山と一ノ越です。
予定ではあの稜線を明日歩きます。剱岳はもちろん楽しみですが、立山三山もとてもワクワクします。
重量装備を背負うと著しく歩行ペースが落ちるKですが、現時点ではまだ生きています。
もう少しで稜線に上がれます。風が少し強く感じられるようになってきました。とは言え、まだまだ心地よいレベルです。
9:45 新室堂乗越に到着。
ここは剱岳方面と大日岳方面の分岐となっており、私達がここに着いた時にちょうど大日岳方面から来たお兄さんは「奥大日岳の山頂に着いた途端、ガスに巻かれて何も見えなかった。」と嘆いていました。
こうして山容を眺めてみると、やはりいかにも山らしい三角形が特徴的。ますます登りたくなってきました。
そしてこちらがこれから向かう別山乗越(剣御前小舎)方面。
多少雲がかかっていますが、大きく崩れることはなさそう。ゆっくり登ることにしましょう。
振り返ると、いつの間にかだいぶ登ってきたことに気付かされます。
足元は少しざれている場所もありますが、よく整備されていて歩きやすいです。ただ、時々、足を踏み外すとかなり下まで落ちてしまうような場所があるので、油断は禁物。
少しずつペースが落ちてきているような気がしますが、まだ元気な模様。
ガスの中に、うっすらと剣御前小舎の建屋の影が見えてきました。あそこまでいったらザックを下ろして休憩します。
「休憩」というワードで息を吹き返す男。
私はまだまだ元気です。(Photo by K)
ガスが抜けるともう別山乗越は目と鼻の先です。
辺りの山肌が徐々に岩々してきて、剱感が出てきました。
こちらのルートから、去年の登った雷鳥坂が見えます。頑張って歩いている登山者がいますね。
緩やかに標高を上げてきたつもりですが、こうしてみると案外急な場所に見えます。
さて、到着です。
現場に戻る(剱御前小舎→剣沢野営場)
11:00 別山乗越(剣御前小舎)に到着。
ザックを下ろして少し休憩します。
剱沢はガスの中です。
と思ったら少しずつ景色が開けてきました。
またガスに巻かれないうちにテント場まで辿り着きたいところ。
あとは45分下るだけで今日の行程は終了です。頑張りましょう。
去年は帰りにここでザックカバーを風で飛ばされたなー。
11:30 徐々に雲の中から姿を見せてくれる剱に気持ちを高ぶらせながら歩いていると、あっという間に剱沢野営場まで着いてしまいました。
見てください、この迫力。
私、明日はあそこに登るんですよ。登れるんですかね、、、。
CTで3~4時間程度で山頂に立てるようですが、調べてみると数々の難所があるみたい。
去年登れなかったこともあるので、ちょっと緊張してきました。
本番を前に(剣沢野営場)
去年来たこともあり、懐かしい気持ちになります。
あれだけ怖い思いをしたのに、それでも戻ってきてしまう。自らの行動に、山の魅力(魔力)を改めて思い知らされました。
因みに、去年はこの写真右下にある石が退けられたスペースにテントを張り、死にかけました。
剱沢に着いてからはだいぶ天気が回復してきて(と言っても曇りですが)、険しい岩肌が露になりました。
天気予報によると明日が曇りです。雨が降らなければ予定通りアタックしようと思っています。
ネットやSNSで何度も見た景色ですが、やはり自分の目で見るのが一番です。見惚れてしまいます。
到着が早かったからか、先客はいませんでした。
見えているギザギザの尾根はおそらく源次郎尾根。あそこを歩けたら凄まじい達成感を味わえそうですが、まだ一般ルートでも登頂していない私が考えることではないですね。
周りの景色を堪能しながらテントを設営。事前予約は不要で1人1,000円です。
設営し終えたら、待ってましたとばかりに乾杯。沁みわたる。
これはKが作ってくれたパスタ。
和えるパスタソースの偉大さを何度も語っていました。確かに美味い。
これは酔いが回り始めご機嫌になってきた私。
テントから顔を出すと目の前に剱岳。こんなに贅沢なロケーションは他にありません。
見えている山頂っぽい場所は前剱で、奥に本当の山頂が隠れています。前剱はもはや壁に見えるのですが、登山道はどこなんでしょう。
前剱から左下に視線を移すと剣山荘があります。あちらに小屋泊した方が剱岳へのアタックは楽なんですが、テント泊好きとしてはどうしてもこっちを選んでしまいます。
野営場の下に立っている剱澤小屋です。こちらはコロナウイルス感染拡大防止の観点から、現在は宿泊者以外、中に入ることはできません。
迫力の前剱。寄りで見てもどこがコースなのか分かりません。
そしてその奥に鎮座する山頂。隠れているのにとんでもない存在感です。
ガスが抜けると太陽に照らされた緑が「俺のことも見てくれ」と主張してきます。
綺麗です。
ポツポツとテントが増えてきています。
皆さん、明日目指す場所はただ1つです。
小屋番さんは剱岳をバックに、小屋の屋根で腕立て伏せ。大切なのは「日々、鍛錬」ですね。
何本か飲み干して、キマってしまった私。何をしていても山は楽しい。
せっかく晴れたので、定番の構図でも撮っておきましょうかね。
流石にこの時間に山頂にいる方はいないと思いますが、晴れてどこまでも広がる絶景が楽しめそう。想像するだけで、涎が垂れちゃう、、、。
山容に見惚れるK。背中で語るにはまだまだ修行が足りないようだな。
私も人に言えないですね。
晴れたと思ったら、すぐにガスが再来。
早い時間から飲み始めてしまったこともあり、今日も早めに就寝。明日が本番なので、結果的には良かったのかもしれません。
明日がいよいよ1年越しに目標達成に向けた挑戦です。安全第一で無事に登頂したいと思います。頑張るぞー!
1年越しの挑戦(剣沢野営場→剣山荘→一服剱→前剱)
3:00 おはようございます。遂に剱岳にアタックの日です。
早く起きたので腹は減っていませんが、途中でシャリバテして動けなくなってしまっては困るので、頑張ってアルファ化米を口に詰め込みました。
4:00 さすがにまだ日の出前で暗いので、ヘッドライトで足元を照らし、いざ出発です。必要なものだけアタックザックに詰めたのでとても軽い。足取りは軽やかです。
富山市方面の夜景。夜明けを待たずして、街は動き始めているようです。
前剱に向けて険しい道を進んでいきます。浮石が多いので、落石を起こさないよう、足の置き場には気を遣います。
迷いそうな場所にはこのように案内板が設置されていて心強い。
空が明るくなり、振り返るとテントを張っている剱沢野営場が見えました。立山三山は雲の中です。残念ながら、今日も綺麗な朝日は拝めませんでした。
霧で濡れてしまうので、カメラはザックの中に閉まってあります。(この後も霧が綺麗に晴れることはなかったので、カメラは出さずに終わりました)
明るくなって、自分がどのような場所を歩いているのかが分かりました。
急に高度感が出てきましたね。
どんより曇り空。
これは好物の岩場が始まりテンションが上がっている私です。天気は優れないですが、それでも心晴れ晴れ、元気に登っていきます。
鎖場はありますが、正直前剱までは特に目立った危険個所はありませんでした。ただ、全体的に不安定な足場が続くので、常時慎重さが求められますね。
難所を行く(前剱→剱岳山頂)
5:15 前剱に到着。天気が悪く、岩も濡れているためか、先客・後続ともにおらず、静かな頂上です。
既に満足げなK。
そう言っている私もご満悦。
晴れていればここに山頂がどーんと聳えているのでしょうね。
お、ここは色々なメディアで目にしたことがあります。
思ったより怖くなかったなー。
あの橋?よりもその後の岩場の方がよっぽど冷や冷やします。
Kも慎重に渡っています。ポーズをとっているのか、バランスをとっているのか。
山頂まで13か所の鎖場があるようですが、この「平蔵の頭」は中でも険しいらしい。(入山前のさらっと調べた薄い知識)
鎖場は登りだけではなく、下りもあります。(小さく写っているのはK)
「平蔵のコル」
こちらもよく聞く名前です。
そして、見えてきたのが、おそらく一番有名な鎖場ではないでしょうか。
「カニのたてばい」に到着。
どれくらいの高さを登るのか分かりませんが、とにかく垂直です。ただ、ピンが打ってあるので苦戦することはなさそう。(高さが苦手な人でなければ)
ここはみんな慎重に登るので渋滞するとの情報があちらこちらに書いてありましたが、まだ誰にも会っていない、、、。
混んでいたら写真を撮るのも躊躇するのかもしれませんが、今日はゆっくり撮れます。
ではでは早速取りつきます。
下を見ると高さを感じますが、足場がしっかりしているので怖くはありません。
余裕も出てきました。
登っている時は正直「そうでもないな」と思っていましたが、こうして写真で見るとなかなか絵になる場所ですね。
無事に登り切りました。
登り切った場所を横から見るとこんな感じ。しっかりした足場がありました。
Kを待ちます。
「たけー」「こわいな」
そんな声とともにKが登ってきました。
ここを終えると山頂はすぐそこです。
感無量(剱岳山頂→前剱→一服剱→剣山荘→剣沢野営場)
6:30 剱岳(2,999m)無事登頂しました!
去年、ここを目指すも爆弾低気圧に見舞われて撤退したので、1年待ってようやく登頂です。素直に嬉しいです。
本来であれば絶景が広がっているであろう山頂。真っ白な景色に残念な気持ちもわずかにありますが、それ以上に達成感が勝ります。
Kとツーショットを撮ることはあまり多くないのですが、Kも私も去年の経験があるからかテンションが上がっているようです。
家を出る時は山頂で景色を見ながらゆっくりコーヒーでも飲むつもりでしたが、この景色ではそんな気にもなりませんので、ちょっと勿体ない気もしますが下山します。
ということで、7:00下山開始。
下山してすぐ、下山一番の難所である「カニのよこばい」がやってきます。
ここは最初の一歩目の足場が目視できないので、足だけで探る必要があります。これが怖いということで難所になっていますが、鎖もありますし、そこまで恐怖感はありません。
霧で岩肌が滑りやすくなっているので、そこだけ注意して進みます。
カニのよこばいを通過し、その後も要所要所に鎖場や梯子が設置されている道を歩いていきます。
これは何でしょうか?資材置き場?
山あるあるですが、下り始めると晴れだしますよね。
天気が回復してきたところで、後続のツアー登山者さんと遭遇。
これから山頂であれば、景色も期待できそう。羨ましい。
白いガスに薄っすらと見えるギザギザの稜線。あそこを歩いてきたと思うと達成感が込み上がってきます。
ずっと見えなかった剱沢も見えてきました。
下りもいくつか難所と呼ばれる場所を越える必要があります。
三点支持を意識していれば問題ありません。
ガスは完全に抜けました。物事はタイミングが命ですね。
暗闇で登った道の全容を初めて目の当たりにしました。
夜景が見えていた富山湾方面。
メインの剱岳に登頂して目標を達成したので、あとは立山三山を縦走して室堂に帰ります。
まずは剣沢でテントやらザックやらを回収します。
山頂は前剱に隠れてしまいました。あっという間の山頂アタックでしたね。
8:30 剣山荘に到着。
地味に堪える登り返し(剣沢野営場→別山)
剣山荘からダラダラと剱沢野営場に移動し、パッキングして
9:00 室堂に向かいます。
頭上にはヘリが飛んでいます。
室堂から立山駅までの最終バスが15:30発。普通に歩いていれば問題ないとは思うのですが、この後、この天気は下り坂で、雨と雷の予報が出ています。どこかで雨宿りなんてことになると、帰る手段がなくなるので、歩ける時に距離を稼いでおきたいところです。
あんなに白い世界だったはずの山頂ですが、今ははっきり見えます。
下りですれ違った人たちは今頃景色を堪能しているんでしょうね。
先月、歩いた白馬三山が見えます。
これは皆さんに共感してもらえるような気がするのですが、自分が一度歩いた山は不思議と遠くから見ても判別できるようになりますよね。
こんな感じの定番構図の写真を量産してしまっていることに、帰宅してから気付きました。まあ、定番には定番になるだけの魅力があるということですね。(と、全く独創性がないと巷で噂の私は思う)
別山には乗越まで戻るルートと、直登ルートの2つがあり、今回は後者を選択。結構急な登りでした。
乗越まで登ると、これから歩く稜線(写真左側)と室堂が見えました。
歩いてきたルートを眺めて一息つきます。山はこの瞬間がいいんですよね。自分の貧弱な脚でも止まりさえしなければちゃんと辿り着くことができることを、山に登る度に感じます。
富士山を発見。富士山を見つけて喜ぶ自分は日本人だなー、と改めて実感。
歩きやすい稜線を(別山→真砂岳)
10:55 別山(2,874m)に登頂。立派な祠がありました。
Kが追いついてくるまで時間があったので、北峰まで歩きます。
北峰は後立山の名峰たちがより近くに感じられました。
別山に戻るとKが到着していたので、いよいよ立山三山に向かいます。
ここからは最後まで室堂が見える開けた景観が続きます。
ゴールが見えているのはいいような悪いような、、、(「帰る」という事実が頭の中にちらつく)
天気予報は何とも言えない、雨が降りそうな降らなそうなどっち着かずの微妙なもの。
天気が良ければ更に綺麗なんでしょうが、この曇天でもこの稜線は素晴らしいです。
Photo by K
写真では薄っすらしか写っていませんが、富士山を眺めながらの縦走は格別に気分がいいです。
Kも楽しく歩いているはず、と思って振り返ると思いのほか険しい表情。(風が強かっただけだとのこと)
富士の折立まではアップダウンの少ない歩きやすい稜線です。(写真中央やや左の岩山が富士の折立)
両手両足を目一杯駆使して岩山をよじ登るのはもちろん好みですが、ここのように緩やかに延びる稜線を歩くのも同じように大好物です。
私は「旅」をしている感覚を味わうことが好きなんだと思います。
右手には大日岳が初日以来、その姿を見せました。
一歩一歩、着実に帰ってきていることを実感します。
遂に雨が降ってきたのでレインウェアを羽織りました。
Kはレインウェアを出すのが面倒らしく、ウィンドシェルで凌ぐらしいです。
ゆとりは傾斜に弱い(真砂岳→富士ノ折立)
12:00 小雨が降る中、真砂岳(2,861m)に登頂。
天気が心配なので、休憩せずに先を急ぎます。
真砂岳から先はこれまで以上に平坦で幅広い稜線が広がっていました。
遠くにみくりが池が見えます。
平坦な天国ゾーンも終盤を迎え、いよいよ富士の折立へ取りつきます。
富士の折立への取りつき手前にあった分岐の看板。
ここから「大走り」と呼ばれるルートを下ると雷鳥沢キャンプ場に行くことができます。
久しぶりに傾斜がついた道を歩き出したら、瞬く間に息が上がって苦しくなりました。
休憩しながら自分のペースで登ります。Kは余裕なのか、私より苦しんでいるのか、ゆとり世代なので人にペースを合わせるなんてことはしませんし、そもそもできません。
思ったより遠かったこともあり、体力を消耗しましたが何とか登りきることができました。
立山三山はご近所さん(富士ノ折立→大汝山→雄山)
12:30 富士の折立(2,999m)に登頂。想像よりも岩がゴリゴリな山頂でした。
奥に見えるのがこれから向かう大汝山のはず。
そして今歩いてきた道を振り返ると、奥に剱岳が大迫力の山容で聳えています。
眼下には黒部ダムが見えます。去年は扇沢から入山したので、あのダム湖の堰堤をUH(UltraHeavy)な装備で歩いたことを思い出しました。
やはり天気が心配なので、ここもあまり長いせずにリスタートです。
そう言えば、いつの間にかガスが晴れて遠くまで眺めるようになっていますね。
こちらの建物は大汝山休憩所。
富士の折立を発ってすぐなのですが、もう大汝山に着きそうです。
13:30 大汝山(3,015m)に登頂。
「立山の主峰」と言われると、多くの方が「雄山」と答えます。確かに「主峰」は雄山なのかもしれませんが(主峰の定義が曖昧ですが、、、)、最高峰は実はこの大汝山なんです。私も去年、初めて剱岳・立山三山縦走を計画した時に知りました。
折角の最高峰なので記念撮影(しれっとレインウェアを着ているK)。一緒に来ているのにツーショットが少ない辺りが私達らしいです。(仲が悪いわけではないはず、、、)
名残惜しいが(雄山→一ノ越→室堂)
13:50 雄山(3,003m)に登頂。
大汝山からは数分で到着しました。
夏の天気がいい時の人がごった返している写真しか見たことがなかったので、こんなに静かな場所だとは思いませんでした。
しかし、かなり山が深いです。山形の山もなかなか深いと思っていますが、こちらも相当ですね。わざわざ来てしまうだけの魅力があります。
ここからは一の越まで標高を下げていくことになります。
写真右手に見えるのは龍王岳でしょうか。「東野登山隊」で登っていたのを見た時は楽しそうな印象しかありませんでしたが、こうして実際に見てみると迫力があります。
そして龍王岳の奥に見えるのは五色ヶ原ですね。山荘も見えます。あそこでテント泊をすることは私のやりたいことリストに入っています。
更にその奥に見える山はどこでしょうか。方角的には薬師岳のような気もしますが、その手前にも何座か山があるはず。(誰か教えてください。)
雄山から下り始めると、もう剱岳は見えなくなっていました。
こちらが一の越山荘。
ここまでなら登山未経験の方も少し頑張れば泊まりに来られそうです。
では室堂に帰ります。
一の越からは足元が石畳に変わりました。登山靴では歩きづらく、ただでさえ疲れている脚にジワジワとダメージを与えてきます。
さっきまで歩いていた稜線が、もうこんなに遠くに見えます。
室堂が近づくと傾斜はなくなり、散歩に最適な道といった感じ。
奥大日岳がかっこいい。
歩いてきた道を振り返る。いい稜線でした。次は青空の下を歩きたい。(写真が暗くてすみません)
15:20 着いてしまいました。名残惜しいですが、これで今回の山行は終わりですね。
剱澤小屋でT-シャツを購入して早速来ているK。
お疲れ様でした。
下山後は立山黒部アルペンルートで立山駅に戻り、ググって見つけた市民浴場で汗を流しました。
まとめ
今回は昨年、痛い目を見て撤退したルートを2回目にして歩くことができました。
1年間待ちに待ったので、登れた時の喜びはひとしお、充実感を味わうことができた山行となりました。
ではではまた山に行ったら更新します。